コラム

ありがとう

作成者

管理人


近頃、大型車とタクシーの運賃の間に、それ程開きがなくなって参りました。果たしてこのような運賃で安全な物流を保つ事は実際に可能なのだろうかと思います。
この業界に入ったばかりで何も分からなかった頃、私はただ“がむしゃらに”汗を流していました。会社は儲かっていませんでしたが、そうする事で何とか食べていく事が出来ました。
それから月日が流れ、物流の“いろは”を何となく理解し始めて来た頃、ある荷主様より「家具の配送をしないか?」との御言葉を掛けて頂きました。当時は景気もよく、家具の配送はそれまで行った事が無かったので、荷主様に「家具の配送は行った事がないのですが、私どもでよろしいのですか?」と逆にお尋ねした事を覚えています。
「これからの家具の配達には、あなたの様な何も知らない“しろうと”が必要なのです」という荷主様の御回答に後押しされ、それから家具の配送も手がけるようになりました。
最初は慣れない業務内容に戸惑い、荷主様にもご迷惑をお掛けすることもありました。
そして、家具の配送を開始してから1年程が経過し漸く慣れてきた頃に阪神大震災に見舞われました。あの時は一体どうして良いものか皆目見当すらつきませんでしたが、とにかく私どもの使命は「荷主様に安定したトラックを供給する事」であると考え潰れた家の始末は家内に一任したまま会社へ赴き、荷主様と共に頑張りました。そうする事が、荷主様の信頼に対する我々の精一杯の誠意であると同時に我が社の活路であり、ひいては従業員を守る事にも繋がると信じていたからです。
震災後しばらくして、荷主様の店舗の整理がある程度落ち着いた頃荷主様は私に「ありがとう」という御言葉と共に握手をされました。私は自分自身が救われた様な気分になり、心の中で「ありがとうございます」と何度も呟きました。
その時私は、私ども弱小企業が生きて行くには、都会の真ん中で、江戸時代から今まで小さいながらも続いている饅頭屋のようにひとつひとつの仕事を“まごころ”を込めて行う事が大切であると確信すると共に、一つの決意が胸に浮かびました。ずっと"まごころ"を込めながら仕事を続けていけば、いつかまた荷主様より「ありがとう」と御褒美に握手をされる日が再び来ると信じてこれからも頑張って行こう、と。


一覧に戻る