コラム

もう走れない

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先日、ハーフマラソンに出走しました。
この夏、当初は健康維持の為にと軽い気持ちで始めたウォーキングでしたが、続けていくうちに本格的になり、気付けばウォーキングからランニングへと移行していました。そして日ごろの成果を試してみたくなり、丹波市で行われたハーフマラソンへと出場してみることを決意しました。実際に出走するまでは、レース中に全てのエネルギーを使い果たし、完走後に「もうこれ以上走れない」と口にする一流アスリート達のように、ゴールした途端に一歩も動けなくなる自分の姿を想像していました。
すぐにマラソン大会当日は訪れ、スターターの合図と同時に走り始めました。最初は快調に走っていましたが、5kmを通過した時点で“横っ腹”が痛くなり、さらに10kmを超えた時には右足の裏がやけどしたように熱くなり、足を引きずりながら走っていました。
やっとの思いで15km時点にさしかかり、あと5kmと思った時、前方に新たな距離表示板が現れました。なんとその表示板には、ゴールまであと6kmと書かれているではないですか。私は、頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けました。恥ずかしい話ですが、私は出走するまでハーフマラソンは、20kmであると信じ切っていました。ここへ来て初めて、正確な距離は21.0975kmであると知ったのです。あと5kmと思っていたのに突然1.0975kmに増えたのです。1.0975km余分に走らなければならないという自覚はその時の私にとって死の宣告に等しいものでした。それでも右足を引きずり、心の中で「もう走るのをやめよう」と何度も呟きながらも走り続けている内に何とかゴールを迎えることが出来ました。ゴールした瞬間、完走したことによる単純な喜びよりも、もう走らなくても良いのだという解放感に似た喜びの方が胸にこみ上げてきました。少しの間、素直に感動に浸っていましたが、冷静になってみると、まだまだ自分は走れる事に気がつきました。そうです、私は一流のアスリートのように自分自身の持っている力を全て出し切ろうとせず、完走出来なくなることを心のどこかで恐れて、知らず知らずのうちに手を抜いて走っていたのです。
我社は、バブル経済がはじけ、阪神淡路大震災により甚大なダメージを受け、不況のどん底で10数年間もがき苦しんで参りました。また、運賃の値下げ、追い討ちを掛けるような燃料の高騰により、何度も「もう限界」「もうだめ」「もう止めよう」と思いながらも歯をくいしばり頑張って参りました。
私も厄年を越え、人生の半ばを通過しましたが、これからも何が起ころうと頑張って走り続けている限り、必ず栄光のゴールが来ることを信じ、立ち止まらず全身全霊で走り続けて行きたいと思います。そうしてゴールを迎えた時には、その長い長いレースの内に全ての力を出し切るアスリート同様、完全燃焼の満足感と共に「もう、走れない」という言葉が口から自然とこぼれるのではないでしょうか。そんな素晴らしいゴールへ向かって、今この場所から更なる人生の一歩をしっかりと踏み出して行こうと思います。


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